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治験支援薬局が変える薬剤師の仕事 育薬から創薬へ広がる役割と薬局経営への影響

治験支援薬局が変える薬剤師の仕事 育薬から創薬へ広がる役割と薬局経営への影響のイメージ

本ページは治験・臨床試験の制度と業界を整理したもので、治験への参加の勧誘や医療上の助言ではありません。

ニュースの概要

厚生労働省の中井審議官が、薬局が治験を支える動きを「新たな流れ」と位置づけ、薬剤師政策の軸を「育薬」から「創薬」へ広げていく考えを示したと、薬事日報が伝えた。育薬とは、発売後の薬を適正に使い、効果や副作用の情報を集めて薬の価値を育てる活動を指す。創薬は、新しい薬を生み出す側の仕事である。薬局が治験に関わる姿は、薬剤師の役割を調剤中心から研究開発の現場へ広げる提案といえる。ここでは発言の要旨を踏まえ、制度と現場の両面から意味を読み解く。

引用元: 【厚労省 中井審議官】治験支援薬局は新たな流れ‐薬剤師政策「育薬から創薬」(薬事日報)

分析・見解

薬局が治験の入口になるという発想の新しさ

治験は、これまで大きな病院が中心になって担ってきた。一方、患者さんが薬局に通う回数は、病院へ行く回数よりずっと多い。毎月、あるいは二週間ごとに顔を合わせる薬剤師は、体調の変化や飲み忘れの癖をよく知っている。この関係を治験の支えに使えば、参加者の通院負担を減らし、記録の抜けも減らせる。

治験で参加者が途中で抜ける理由は、副作用よりも「通うのが面倒」という生活上の事情が目立つ、とよく言われる。近所の薬局で相談できる安心感は、継続率を左右する見えにくい要素になり得る。

育薬から創薬へ、言葉が示す役割の広がり

育薬は、発売後の薬を適正に使い、情報を集めて育てる仕事である。副作用の聞き取りや服薬指導が中心だった。創薬は、薬そのものを生み出す営みを指す。薬剤師が一足飛びに新薬を設計するわけではない。ただ、参加者の候補探し、服薬状況の確認、有害事象(=薬による好ましくない出来事)の記録といった工程に加われば、開発の一員になる。

ドラッグロス(=海外で使える薬が日本で使えない状態)が課題とされるなか、日本で治験を回しやすくする担い手として薬局に白羽の矢が立った、と読むのが自然だろう。

分散型治験の広がりと薬局の地域密度

近年は、通院を減らして自宅や近所で参加できる分散型治験(=参加者の生活圏で行う治験)が世界で進んでいる。欧米では、オンライン診療と薬の宅配を組み合わせた例もある。日本の薬局は六万軒を超え、地域に細かく点在している。この網の目は、地方に住む患者さんや、患者数の少ない希少疾患の患者さんに届く入口になり得る。

越えるべき壁は人手と手順と信頼の三つ

課題も重い。治験には厳格な手順(GCP=臨床試験で守るべき基準)があり、記録の正確さが命になる。薬局の薬剤師は、調剤と在宅対応ですでに手一杯である。研修、専任の担当者、依頼元との契約、個人情報の扱いが整わなければ広がらない。報酬面の裏付けも欠かせない。制度が先に走り、現場が追いつかない事態は避けたい。

ビジネスへの影響

薬局経営者が今から確認したい三つの点

まず、自店が治験支援の対象になり得るかを見極めたい。在宅の実績や、地域の基幹病院との関係が土台になる。次に、薬剤師の研修計画である。治験の基準を学ぶ時間を、日々の業務のなかでどう確保するか。三つ目は、記録と個人情報の管理体制だ。紙の運用が残る店は、まず電子化から始めるのが現実的である。

製薬企業と医療機関が薬局を使う場面

製薬企業にとって、参加者募集の遅れは開発期間を延ばす大きな要因の一つである。薬局という接点が増えれば、募集の網が広がる。ただし、薬局ごとに手順がばらつけば品質が落ちる。窓口を一本化する支援組織や、共通の教育資料を用意できる企業が先行するだろう。医療機関側は、通院負担の軽い参加者が増えるぶん、診察と検査に集中できる。

周辺業界に生まれる小さな商機の探し方

薬局向けのシステム会社や人材会社にも商機がある。治験の記録を薬局の事務システムと連携させる仕組み、治験経験のある薬剤師の育成、教育コンテンツなどだ。いきなり全国展開せず、数店舗で小さく試してから広げる進め方が失敗は少ない。制度の細部が固まる前に、現場の声を集めておくことが後の差になる。

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