CROを横並びで読むための視点
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本ページは企業情報の整理であり、特定の企業の推奨や治験参加の勧誘ではありません。
CRO(開発業務受託機関)は、製薬企業などの依頼者から治験に関する業務を受託する企業です。国内には、国内の製薬業界から発展した企業、医療機関支援のSMO事業を併せ持つグループ、海外に本社を置く外資系企業の日本法人など、出自や事業の組み立てが異なる企業が並んでいます。そのため、同じ「CRO」という言葉でも、提供している業務の幅や強みの領域は同一ではありません。
本ページでは、各社の公式サイトで事業内容を確認できた9社を取り上げ、事業の出自、主要サービス、対応領域、国際対応という事実項目で整理します。取り上げた企業は、国内で治験関連の事業を展開していることを公式サイトで確認できたものであり、業界全体を網羅するものではありません。順位付けや優劣の判断は行いません。
読み進める際の視点は三つあります。一つ目は業務の範囲です。モニタリングに特化するのか、非臨床から製造販売後までをつなぐのか、あるいは開発戦略や薬事コンサルティングも含むのかという違いです。二つ目は対応領域で、がん、中枢神経系、免疫・ワクチンなど、重点とする疾患領域を公表している企業もあります。三つ目は国際対応で、海外拠点や国際共同治験の実施体制の有無です。関連する背景は治験業界の全体像、医療機関側の支援企業はSMOの比較をご覧ください。
【比較表】主要CRO9社の事業領域と国際対応
| 企業 | 出自 | 主要サービス(公式記載) | 領域・特色 | 国際対応 | 本社・上場等 |
|---|---|---|---|---|---|
| IQVIA(アイキューヴィア) | 外資系(グローバル企業の日本法人) | 研究開発(臨床試験、中央検査、R&Dコンサルティング)、商業化、リアルワールドエビデンス、規制コンプライアンス | データ・テクノロジー・分析を組み合わせたライフサイエンス向けサービス | グローバル展開(公式サイトにロケーション一覧あり) | 公式サイト参照 |
| シミックグループ(CMIC HOLDINGS) | 国内系 | コンサルティング、非臨床CRO、CRO、CDMO、SMO、CSO | 非臨床から製造販売後までを支援するEnd-to-Endのソリューション | 世界に42オフィス・6工場・8研究所(公式サイト記載) | 1992年に日本で最初にCRO事業を開始したと記載(公式サイト) |
| EPSホールディングス | 国内系 | CRO事業、SMO事業、CSO事業、益新事業、創健事業、インキュベーション事業 | CRO・SMO・CSOを同一グループで展開 | 公式サイト参照 | 本社:東京都新宿区筑土八幡町。設立:1991年5月(公式サイト記載) |
| リニカル | 国内系(日本発のグローバルCRO) | 医薬品開発戦略、臨床試験マネジメント(フィージビリティ調査、モニタリング、被験者募集、データマネジメント・統計解析ほか) | がん、中枢神経系、免疫・ワクチン、内分泌・代謝、その他(バイオシミラー、希少疾患、小児など) | 約20か国・地域で直接事業、パートナーを含め約30か国・地域に対応(公式サイト記載) | 証券コード2183(公式サイトの株価情報に記載) |
| アイロムグループ | 国内系 | SMO事業、先端CRDMO事業(基盤技術、CDMO、CRO等) | SMOとCRO・CDMOを組み合わせたグループ | 公式サイト参照 | 本社:東京都千代田区富士見2-10-2。2025年5月に上場廃止の発表(公式サイト掲載) |
| ICON | 外資系 | 臨床ソリューション(分散型臨床試験を含む)、コンサルティング・商業化、テクノロジー | 製薬、バイオテック、医療機器企業、政府・公衆衛生機関が対象。がん、循環器、中枢神経系など幅広い領域 | グローバル展開。日本語サイト、アジア太平洋・中南米のページあり | 1990年にアイルランドのダブリンで創業(公式サイト記載) |
| Syneos Health(シネオス・ヘルス) | 外資系 | 臨床開発、医療アフェアーズ、商業化、コンサルティング、テクノロジー・データ・AI | 初期相から後期相の試験、規制業務、ファーマコビジランス、FSP、サイト選定支援など | 60か国以上で事業(公式サイト記載。オフィスロケーション一覧あり) | 公式サイト参照 |
| パレクセル・インターナショナル | 外資系(日本法人) | 開発全体を通じたエンドツーエンドのソリューション(公式サイト記載) | 詳細は日本向け公式サイト参照 | 米国のParexel International Corporationを親会社とする日本法人(公式サイト記載) | 本社:東京都中央区新川(東京本社)。大阪・神戸にも拠点 |
| メディサイエンスプラニング | 国内系(公式サイトにM3 Groupの表示あり) | 再生医療等製品の開発支援、Patient Centricity関連、AI・デジタルヘルス関連、RBQM solution(公式記載) | 独自の高付加価値サービスを提供するCROと掲げる | 公式サイト参照 | 本社:東京都中央区新川。設立:1982年9月 |
2026年10月時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。「公式サイト参照」は本ページで数値や詳細を示していない項目、「-」は公式サイトで該当の提供を確認していない項目です。
表の「主要サービス」「領域・特色」は、各社公式サイトに掲載されている表現に沿って整理しています。数値は各社の公式サイトで確認できたものだけを記載し、数値や詳細を示していない項目は「公式サイト参照」としています。表の並びは、国内系と外資系をおおまかにまとめたもので、順位や評価を表すものではありません。
各社のプロフィール
表に掲載した9社について、公式サイトで確認できた内容をプロフィールとして整理します。評価や推奨ではなく、事業の理解のための記述です。
IQVIA(アイキューヴィア)
公式サイトによれば、IQVIAはデータ、テクノロジー、分析、人間科学を組み合わせてライフサイエンス業界向けのサービスを提供しています。サービスは研究開発(臨床試験、中央検査、R&Dコンサルティング)、商業化、リアルワールドエビデンス、規制コンプライアンス、患者中心の取り組み、臨床試験向けテクノロジー製品群など広範囲にわたります。臨床試験の運営に加えて、医薬品の市販後のデータ活用までを一つの企業グループで捉える点が、公式サイトの構成から読み取れます。日本法人の詳細は、公式サイトのロケーションページで確認できます。
シミックグループ(CMIC HOLDINGS)
公式サイトでは、製薬企業向けのPharmaceutical Solutions、ヘルスケア領域のHealthcare Solutions、患者や医療機関向けのSpecialized Solutionsの三つの領域が示されています。製薬企業向けには、コンサルティング、非臨床CRO、CRO、CDMO、SMO、CSOを組み合わせ、非臨床から製造販売後までのバリューチェーン全体を支援するとされています。ヘルスケア領域ではデジタルヘルスや自治体支援といった新しいソリューションも掲載されています。治験の現場を支援するSMO事業を併せ持つ点は、SMOの比較でも触れています。
EPSホールディングス
公式サイトの事業欄には、CRO事業、SMO事業、CSO事業、益新事業、創健事業、インキュベーション事業および関連事業が並んでいます。研究開発パイプラインも公開されています。グループ会社としては、EPファーマライン、EPNextS、EPLinkなどの名称がニュースリリースの見出しに見られます。依頼者側を支援するCROと、医療機関側を支援するSMOを同じグループで展開している点が特徴として読み取れますが、各事業の具体的な内容や規模は公式サイトの各ページで確認する必要があります。
リニカル
リニカルは公式サイトで、臨床試験の初期段階から製造販売後試験まで一貫して支援する、日本発のグローバルCROと紹介しています。医薬品開発戦略では、プロトコル作成と試験デザイン、薬事コンサルティング、薬事申請、品質保証、メディカルライティングを掲げています。臨床試験マネジメントでは、フィージビリティ調査と試験の立ち上げ、プロジェクトマネジメント、ファーマコビジランス、モニタリング、被験者募集、データマネジメント・統計解析、トレーニングを挙げています。重点疾患領域として、がん、中枢神経系、免疫・ワクチン、内分泌・代謝などが示され、日本、アジア、欧州、米国の3極で事業を展開するとされています。
アイロムグループ
公式サイトでは、事業としてSMO事業と先端CRDMO事業が示されています。先端CRDMO事業には、基盤技術、製品、CDMO、CRO、その他のサービスが含まれます。所在地は東京都千代田区富士見にあり、ニュースリリースには2025年5月に当社株式の上場廃止に関するお知らせが掲載されています。SMOとCRO、CDMOの機能を持つ点が整理上の特徴ですが、各サービスの詳細は公式サイトで確認が必要です。なお、SMO側の公式記載はSMOの比較ページにも掲載しています。
ICON
ICONは公式サイトで、医薬品開発を支援するCROとして、臨床開発の全段階で成果を出すことを掲げています。サービスは、臨床ソリューション、コンサルティング・商業化、テクノロジーに大別されます。臨床ソリューションには、分散型臨床試験、初期臨床試験、検査、医用画像、施設・患者支援などが含まれます。製薬企業やバイオテック企業に加え、医療機器企業や政府・公衆衛生機関も対象としており、がん、循環器、中枢神経系など幅広い治療領域に対応するとされています。テクノロジーでは、AIを活用したマルチエージェント基盤などが紹介されています。
Syneos Health(シネオス・ヘルス)
Syneos Healthは公式サイトで、臨床開発、医療アフェアーズ、商業化、コンサルティング、テクノロジー・データ・AIを手がける統合型のバイオ医薬品ソリューション企業と紹介されています。臨床開発では、初期相から後期相までの試験、規制業務、ファーマコビジランス、バイオアナリティカル、FSP(機能別サービス提供)、臨床試験サイトの選定・支援が挙げられています。開発から商業化までを一つの組織で扱う点が公式サイトの構成上の特徴で、従業員数や専門家の人数も公式サイトに掲載されています。
パレクセル・インターナショナル
パレクセルは、日本向け公式サイトを開設しており、日本法人として東京に拠点を置くことが公開情報から確認できます。公式サイトでは、開発の全体を通じたエンドツーエンドのソリューションを提供する企業として紹介されています。本表では、公式サイトで確認できた範囲に限って記載し、具体的な提供サービスや領域の詳細は日本向け公式サイトでご確認ください。外資系CROの日本法人は、グローバルな開発計画の中で日本が参加する場合の運営窓口となることが多く、国際共同治験を検討する際の選択肢の一つとして整理されます。
メディサイエンスプラニング
メディサイエンスプラニングは、1982年9月に設立された国内系のCROで、本社は東京都中央区新川にあります。公式サイトにはM3 Groupの表示があり、独自の高付加価値サービスを提供するCROとして挑戦を続けると掲げています。サービスとして、再生医療等製品の開発支援、Patient Centricity関連、AI・デジタルヘルス関連、RBQM solutionが紹介されています。RBQMはリスクに基づく品質マネジメントを指し、モニタリングの考え方に関わるため、制度・規制の整理で触れるICH E6(R3)の流れとも関連します。具体的な実績や規模は公式サイトでご確認ください。
CROを比較するときに確認したい事実項目
実際にCROの事業内容を調べる際には、公式サイトの記載をもとに、次のような項目を整理すると、比較しやすくなります。いずれも、各社の営業資料や契約条件を見る前に、公開情報で確認できる範囲の項目です。
- 受託できる業務の範囲:モニタリング、データマネジメント、統計解析、薬事、ファーマコビジランス、メディカルライティングなど、どの業務まで自社で提供しているか。
- 対応する疾患領域と開発段階:初期相から製造販売後まで対応するか、特定の領域を重点としているか。
- 国際共同治験の実施体制:海外拠点の有無、直接事業を行う国・地域の数、パートナーとの連携。
- 技術・デジタル対応:分散型臨床試験の提供有無、電子化されたツールの提供、データ活用の取り組み。
- グループ構成:SMOやCDMO、CSOなど、関連事業をグループ内に持つかどうか。
ただし、公式サイトに掲載されている実績の数や規模は、集計の基準が企業ごとに異なります。そのため、本サイトでは、数値は個別に確認できたものに限って掲載し、単純な大小の比較は行いません。治験を依頼する立場でのCRO選定は、実際には、疾患領域、試験の段階、予算、スケジュール、過去の経験などを踏まえた個別の検討が必要となります。
制度面から見た委受託の関係や、依頼者・CRO・医療機関の責任分担については、制度・規制の整理で、GCP省令や通知を引用して説明しています。また、CROの仕事に関わる職種や資格はコスト構造・資格・職種で扱っています。公的な一次情報としては、PMDAの公式サイトに治験関連の情報が掲載されています。
